クールな准教授は密かに彼女を溺愛する
紗奈が要と暮らすようになって1か月。

始めの頃こそ、紗奈は2人の関係がいつか誰かに気づかれるんじゃないかと、ビクビク学校に通っていたが、意外と平和な毎日を送る事が出来ている。

困る事と言ったら、家に帰ると要が何かと紗奈を構い、スキンシップが過剰な事くらいで、不意に抱きしめられたり、キスをされたりと、その度紗奈は翻弄されて心臓が幾つあっても足りないと思う。

学校の往復も結局車で落ち着いて、学校から少し離れた駐車場から5メートル程距離を取って歩いて学校に向かう事を徹底した。

始めの頃は、紗奈が人の多いアーケード街を1人で歩く事を要はかなり心配し、事あるごとに駆けつけ手を引き過保護にされたが、よく誰にもバレなかったなと感心する。

そして、
今日から3日研修旅行の下見の為に要は出張している。
 
出かける前まで『何かあったら必ず電話を』と、紗奈を1人置いて行く事に過剰なまで心配し、挙句の果てに休もうかな、とため息混じりで仕事を放棄しようとする要を紗奈は思わず吹き出して笑ってしまった。

そんな駄々っ子みたいな要が不謹慎だが、可愛いなぁと思ってしまうほど、紗奈も要の過剰な愛情を受け入れどっぷり浸かってしまう程には大好きだと自覚してしまった。
 

ゼミの方も順調で模型製作を終え、今はパースとコンペに向けての展示作りに取り掛かっている。

朝は電車で学校へ行き、今日はゼミも無い為久しぶりに1人の夜を満喫しようとお弁当を買って帰る。

改札を抜けてホームで電車を待つ。
要さんはそろそろ白石先生と夕飯食べてるのかなぁ、そう思いながら列に並ぶ。 

夕方はサラリーマンやOL、学校帰りの高校生、沢山の人が溢れている。

要さんとの帰り道はいつも見守られていて安心するが、今日はなんだか少し心細い。
1人で生活していた時は寂しいなんて思う暇も無かったのに、そう思いながらスマホに目を通す。

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