クールな准教授は密かに彼女を溺愛する
家に着いてホッと一息つく。

なんだかいろいろあった一日だったなぁ。
買ってきたお弁当を食べながら思う。

要さんに会いたい。声が聞きたい。
今どうしているんだろう?
電話しても大丈夫かな?と、スマホを見つめる。

トゥルルル トゥルルル

タイミング良くスマホが鳴る。

「もしもし、お疲れ様です。」

『お疲れ様、出るの早くてびっくりした』
と言いながら、要の笑い声が聞こえてきた。

紗奈は嬉しくて、同時に要の落ち着いた低い声を聞いて安心する。
「今、丁度電話してもいいかなぁって考えてた所でした。」

『何してた?』

「今、御飯食べてました。」
要の優しい声に思わず涙ぐんでしまう。

『どうした?何があった?』
紗奈は涙を必死で堪えながら、どうしてこの人はすぐ気が付いてしまうんだろう。と、思う。

「どうして…。なんで分かっちゃうんですか?」

『紗奈の事はすぐ分かる。
それより、何があった?泣いてるのか?』

要には隠しきれないと判断して、帰りの駅での一部始終を話す。

『傷は?血は止まってるのか?』
ケガをしたと言ったら余計に心配させてしまった。
「ただの引っ掻き傷です。
もう血も出てませんし、腫れも引いてるので大丈夫です。」
要は、はぁーっと深くため息をついて問いかける。
『その、助けてくれた弁護士って名前は聞いた?』

「はい。えっと、名刺を頂きました。ちょっと待っててください。」

カバンからもらった名刺を取り出し名前を告げる。
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