クールな准教授は密かに彼女を溺愛する
コンコンコン
ノックをすると、返事がして瞬間ドアが開かれる。手を引っ張られたと思うと、気付いたら要の胸に飛び込んでいた。
急速にぎゅっと抱きしめられ心臓が跳ねる。
ドアがパタンと閉まる音が響く。
「お、お帰りなさい。」
抱きしめられたまま、どうしていいか解らずそっと伝えてみる。
要は何故かワイシャツのボタンを全部外した状態だった。頬が直接要の胸板に触れている事に気付き紗奈はパニックになる。
「か、か、要さん、服、服を着てください。」
あははっ。と笑う要の腕はそれでも緩まず紗奈を抱きしめ続ける。
「会いたかった。
早く紗奈に会いたくて、走ってきたら汗かいて、着替えの途中だったんだ。
ごめん。汗臭いよな。」
胸から直接響く要の低い声に気持ちが落ち着き安堵感が広がる。
要の背中に手を回しそっと抱きついてみる。
「私も、会いたかったです。」
顎に指が掛かり上を向かされると同時に急速に深いキスをされる。
「…んっ……。」
されるがままに紗奈は口内を駆け巡る要の舌先に翻弄される。
息が注げずに息が荒くなる。
「…あっ…。」
立っていられず、思わず要にしがみつく。
要はすかさず紗奈を抱き上げ、貪る様にキスを止めない。
「せ、先生…。」息絶え絶えになりながら
涙目で訴える。
どのくらい時間が経ったのか、ほんの短い間だったのか、気付けばソファーで要の膝の上に横抱きにされていた。
紗奈の腕の包帯に触れ、要はハッと我に帰る。
息絶え絶えに浅く呼吸をする紗奈を見る。
「ごめん。暴走した。
傷口は痛む?思ってたより重症じゃないか⁉︎」
息を整えながら紗奈は慌てて答える。
「傷は大した事ないんです。
引っ張られた時のアザがちょっと目立つので隠す為に包帯してるだけです。
痛みはないので大丈夫です。」
「ちょっと見せて。」
そう言いながら巻かれた包帯をそっと解いていく。
「えっと…要さんに見せたく無くて隠してたんですけど…。」
紗奈は戸惑いの目で要を見つめる。
要の膝上から咄嗟に逃げようとするが、要の片手が腰に回っていて動きようが無い。
湿布を剥がし傷口を見る。
色白の肌に青紫色にアザがくっきり浮かぶ。
要は眉間に皺を寄せ、怒りを抑えるよう歯を食いしばる。
「あ、あの見た目より本当に痛くないんです。」
紗奈は自分が怒られたかの様に取り繕う。
紗奈の腕を優しく持ち上げキスをする。
「痛かったし、怖かったよな。
ごめん、側にいてあげられなくて。」
要が1番傷ついた様な顔で紗奈を抱きしめてる。