クールな准教授は密かに彼女を溺愛する
裏門を出ると、路肩に要の車を見つけ、
息を切らしながら近づく。
要がすかさず、助手席のドアを内側から開けてくれた。

「そんなに急いで来なくても良かったのに、大丈夫?」
可笑しそうに笑いながら、ハンカチで紗奈のおでこの汗を拭く。
「すいません。帰り際に白石先生とすれ違って、慌てて話を取り繕ったんですけど、不審に思われたかも知れないです…。」
息を整えながら、紗奈は言う。

「白石先生か、俺も強引に振り切って来たからなぁ。
大丈夫、明日上手くフォローしとくから。」
紗奈の頭を優しく撫ぜながら、要は安心させるようにそう言って落ち着かせる。

「もし、何か勘付かれてもらしらを切るから。何て言ってた?」
先程の一部始終を要に話した。

そろそろ白石先生に隠し通すのは限界かも知れないな、と要は正直思っていた。

今回の出張でほとんど行動を共にしていたし、彼は意外と感が鋭い。
俺の行動もきっと不審がってるだろうしな。

どうするべきか、味方に着くから五分五分だと思うが、いざとなったら頭を下げてでも秘密にしてもらわなくてはと要は決心する。
< 150 / 182 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop