クールな准教授は密かに彼女を溺愛する
家に帰りやっと一息入れる。

紗奈はキッチンに向かい早速、要の好物のハンバーグを作っている。
「要さんはお風呂に入ってゆっくりしてて下さい。」
と、言われたのでとりあえず素直に従い風呂に浸かり汗を流す。

先程、松島さんから連絡が来てストーカー男の身元が分かったと言う。一度会って二度現れ無いように念を押すつもりだ。

弁護士の田中が入っても、また会おうと言うぐらいだ。紗奈への執念を感じて不気味だが、警察沙汰にしてでもこれ以上彼女に害をもたらすなら排除しなくては、

田中もあれ以来連絡はしてないが、きっと向こうからなんらかのアプローチがあるだろう。
そろそろ紗奈の実家にも挨拶をして、周りから固めておかないと紗奈が俺から離れていくのではと恐怖心も拭えない。



風呂を出て、頭をタオルでガシガシ拭きながら要は紗奈に話しかける。

「そろそろ紗奈の実家に俺達の事、話をしておこうと思ってる。今夜、連絡取ってくれないか?」

えっ!!と紗奈は目を見開いて要を見る。
「今晩ですか?
ち、ちょっと心の準備が…。」
明らかに動揺する紗奈が可愛い。
要は、紗奈を後ろから抱きしめ落ち着かせる。

「俺からちゃんと話すから紗奈は取り次いでくれればいいよ。」 

そう言うと「手伝うよ。」と手を洗い、紗奈がマッシュしていたポテトを代わってくれる。

「ありがとうございます。ポテトサラダを作ろうと思って。」
にこりと微笑んで紗奈は要を見上げる。

「要さんって御曹司なのにいろいろ家事とか手伝ってくれますよね。凄いと思います。」

「あははっ。御曹司って久々に聞いた。」
要は笑いながら紗奈と目を合わせて言う。

「高校は寮に入ってたし、大学から1人暮らしだったから家事全般は普通にやるよ。
仕事始めてから時間が無くてハウスキーパーは頼んでたけど。後、料理はあんまり作れない。」

「そうなんですか?
器用だからなんでも作れそう。」
話しながら、要の濡れてる髪が気になる紗奈は何気なく手を伸ばして触って見る。

「うん?」触れられる事に慣れてない要はビクッとする。

「髪、乾かした方が良いです。傷んじゃいます。」
紗奈はキッチンを離れて、ドライヤーを取りに行く。
「そこに座ってください。」

紗奈に言われた通り手を止めて、素直に椅子に座る。
紗奈が優しく髪を指で梳かしながらドライヤーで乾かしていく。
要は初めこそ動揺してしまったが、気持ちいいなと目を閉じてされるがままで、癒されていく。

「出来ました。要さんの髪はサラサラして手触りが良いですね。」

「ありがとう。
初めて乾かしてもらったけど、なんか癒されるな。これから毎日やってよ。」

ふふふっと笑いながら「いいですよ。」と紗奈は言う。


2人の時間を楽しみながら、夕飯の準備を再開しポテトサラダを完成させた。


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