クールな准教授は密かに彼女を溺愛する
土曜日の朝。

要は少し早く起き日課のジョギングに出る。
今日は親父も休みのはずだ、紗奈の事をちゃんとしておきたい、田中弁護士についても誰の差金かはっきりさせておきたい、実家に電話しようと決意する。

近くの公園で足を止め実家に電話をかける。

朝の8時過ぎ、今なら起きて朝食を取っているはずだ。

「もしもし、要です。親父起きてる?」

電話に出たのは長年勤めている家政婦の須田さんだった。

『お久しぶりです。
要さん、お元気でしたか?ちっともこちらに顔を出さないので、心配していました。』

母親代わりと言ってもいいほど幼い頃は彼女のお世話になった要にとって、須田は頭が上がらない存在だ。

「元気にしてるよ。
忙しくてなかなか行けないけど、須田さんも元気そうでなにより。」

『元気なだけが取り柄ですから、今旦那様に代わりますね。少々お待ち下さい。』

世間話しが始まらなくて良かったと内心思いながら苦笑いをする。
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