クールな准教授は密かに彼女を溺愛する

なんせ昨日やっと引越しを終えて、
急いで今日下りたての保険金で、学費を納め大学に来たので、右も左も分からない状態だ。
その為、ガイダンスにも間に合うず、ゼミの申込も出来なかった。

短大から編入した友達も少しは居るが、一年間休学している紗奈には同学年に親しい友達はいない。

1年前に先に編入した仲間は居るが先輩になる訳だし、今更頼りづらい。
ただ、1人仲良くしていた親友の結衣にはメールを入れておこうと思い立つ。

最寄りの駅に着いて思う。
思ってたより遠いな。先生の言う通り自転車で通うには無理かも…。

どうしよう。
家賃に通学代、光熱費に携帯代、後は食費に学校の教科書類もまだ買ってないしいくらかかるんだろう?

自転車だって駅からアパートまでは欲しいけど、実家から送ってもらうにはお金かかりそう。
早く仕事見つけなくちゃ。

最寄りの駅に降り立ち、改札口を出て家路を急ぐ、構内の隅に置かれた無料のアルバイト情報紙に目が止まる。

学校の近くで短時間で高収入何があるかなぁ。
ファミレス、コンビニは賄いがあるから食費は浮くかも?
でも時給は安そう。

夜勤のバイトは?
丼チェーン店はなかなか高給、ゼミが忙しい時は休めるかな?
融通効く所じゃないと、仮眠室とかあるかなぁ?

はぁー。どうしよう。
ホント行き当たりばったりの毎日だ。
助けてくれる人は誰も居ない…。

なんとなく北原先生を思い浮かべる。

ダメダメ。
先生にはこれ以上迷惑かけられない。

私みたいな田舎から出てきた学生なんていっぱい居るはず、先生は忙しいんだから、
いちいち一人一人に構ってなんで居られないんだから。

今日、ゼミに入れてくれたのだって奇跡だ。
大泣きして抱き止めてくれたのだって…幻だったんだ。
恥ずかしい。何やってるんだろ私。

雲の上の人なのに。
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