クールな准教授は密かに彼女を溺愛する
「さすがですね。
この短期間のうちに既に辿り着いたんですね!」
写真を見て田中は驚く。

「見合いを断ったばかりだったので直ぐ分かりました。」

「何かアプローチはありましたか?

守秘義務があり、今は私からは余り言えないのですが…。
少し執着が強過ぎて犯罪に繋がりかねない案件でして。どうするべきか上司に相談しているところです。」

「それは…。
私にですか?それとも紗奈に危害が加えられるのではと言う事ですか?」

「私からはまだ、紗奈さんの存在は伝えていませんので安心して下さい。

ただ、毎日何度も事務所に報告はまだかと連絡があり、このままだとご自宅に乗り込んで行きそうな勢いです。」

要は眉を寄せて考え込む。
「なるほど…思ってたより厄介ですね。
話して分かる相手ならこちらからはっきりお伝えしようと思っていたのですが…。」

田中も渋い顔をして言う。
「ある意味、お嬢様気質と言うか…とても扱い難い方でして。
こちらとしても解約を申し出たいところです。」

それを聞いて、ふいに1人部屋に残して来た紗奈の事が心配になる。
「すいません。一度家に電話していいですか?」
嫌な予感が拭えずに要は言う。

母から聞き出せばうちの住所なんて直ぐに分かってしまう。

高層マンションのセキュリティは完璧だと思っているが、

「どうぞ。早く連絡を。」

田中はソファから立ち上がり、机の方で何処かに電話をかける。

要も直ぐさま携帯を取り出し紗奈に電話する。
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