クールな准教授は密かに彼女を溺愛する

トゥルルル トゥルルル…
何度か鳴らしても留守番電話に接続してしまう。

今度は自宅の電話にかけてみる。

トゥルルル トゥルルル…
留守番電話になるが気にせず問いかける。

「もしもし…紗奈⁉︎いたら出て…」

願いながらそう言うと、ガチャっと受話器を取る音がして、

「もしもし?要さんですか?
どうしたんですか?」
紗奈の声が電話口から聞こえ、思わず安堵の溜め息を吐く。

「はぁー、良かった。

嫌な予感がして電話したんだ。誰かうちに来なかったか?」

「さっき、30分くらい前に女性の方が一階のロビーに来ているとコンシェルジュの方から連絡があったのですが、知らない方で要さんも留守の時にお通しするのも気が引けてお断りしたんです。

そしたら先ほどまた連絡があって帰って来るまでロビーで待っているそうです。
松永様って方なんですが、お知り合いですか?」

「良かった。その人絶対部屋に通さないで。紗奈は部屋から出ないで、俺が帰るまでそこで待ってて。」

「分かりました。」
いつも落ち着いている要が珍しく早口で焦っていると感じ紗奈は、只事じゃ無いと察する。

「コンシェルジュと直接話したい。
保留を押して1を押して受話器を置いて。」

「はい、分かりました。お気を付けて帰って来てください。」

「ああ、ありがとう。」

それから、コンシェルジュには訪問者を一階に止めておくようお願いして今から帰ると伝える。

電話を切って田中に伝える。

「松永さんに連絡繋がりません。
僕も一緒について行っていいですか?」

「もちろんです。」

2人は事務所を飛び出して、要の車で家に急ぐ。
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