クールな准教授は密かに彼女を溺愛する
「私、以前からご両親の方にお見合いを打診しておりました。なのに、なかなか連絡も無くこのままでは埒が開かないと思い、決心して今日こちらに伺いました。」
「分かりました。
では話しはここで聞かせてもらいます。」
そう言って要は向かいのソファに腰を下ろす。
「良かったら、田中弁護士もご隣席願いますか?」
そう言って、隣のソファに座る様促す。
「そうですね。せっかくですので立ち合わせて頂きます。」
ニヤッと笑って要の思惑を知ってか知らずか要に目を合わせ軽く頷く。
「では、お話し願います。」
「ここでですか?とてもプライベートなお話しです。お部屋に通して頂きたいわ。」
「申し訳ないが、プライベートを貴方にお見せするほど親しい仲では無いので遠慮させて下さい。」
冷静で落ち着いた声だか、目の奥に怒りを滲ませていると田中は悟る。
「なぜ田中弁護士も同席させるの?私は貴方と2人で話したいんです。」
ふぅーと軽く息を吐き要は答える。
「いきなり家に押しかける貴方は得体の知れない人物です。2人で話すのは気が引けます。
時間も遅い。要件だけ手短にお願いします。」
「…仕方ないわね。」
少し不貞腐れた顔で、自分の非を認める事も無くそればかりか全くもって悪気がないようにみえる。
根本的に話しが通じない人種の人間だと要は直感する。