クールな准教授は密かに彼女を溺愛する
「このドキドキ感を味わいたいと思って。」
ニコッと笑う。

「そ、そろそろ離してくれませんか?
あんまり時間もないですし、
ところで私に相談って何ですか?」
紗奈は抱きしめられている目の前の胸をそっと押して離れようと試みる。

要は仕方なく腕の力を緩めて、紗奈を見下ろす。それでも背中の後ろに回した手は離さない。

紗奈は小首を傾げて要を見上げる。

「あのさ、この髪型とメガネ辞めようかなって思ったんだけど。」

「えっ!!!!」

思いがけない相談で紗奈はびっくりして目を見開き呼吸するのも忘れるくらい固まる。

「どうした?その反応は…。」
要も思わぬ反応でびっくりする。

「だ、だめです。
だ、だって今までその格好の方が目立たず過ごしやすかったんですよね⁉︎」
必死になって止めようとする紗奈。

「えっ…。
思っても無い反応でこっちもびっくりなんだけど…。
紗奈はメガネかけてる方がいいって事?」

「私にとっての要さんは、この今の姿なんです。お家の要さんはレアな姿でドキドキし過ぎて疲れちゃうので…。
先生姿の要さんの方が私は好きです!」

断言されて要も、そうなんだと納得する。


そうか…、見た目にこだわってたのは俺自身だったのかもしれない。

どんな格好でも、どんな見た目でも、モテようが嫌われようが、俺は俺なんだ。

初めから中身の俺を求めてくれた紗奈にとって外見はどうでも良いのかもしれない。
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