クールな准教授は密かに彼女を溺愛する

「今日やった所で質問や疑問がある人は挙手して下さい。」

また、あのチャラい茶髪が手を上げる。

「松島さん。」

仕方なく指名する。
松島純也は去年、出席日数が足らなくて単位を落としそうになった為補習と課題で救ってやったから覚えている。

「先生って、彼女いますか?」

はっ⁉︎
なんて質問だ。
生徒の前で聞く質問じゃないだろ?
若干イラッとしたが、顔には出さずに答える。

「授業とは関係の無い質問は受け付けません。」

「じゃあ。歳は?いくつですか?身長は?」

隣に座る中山紗奈が心配そうな顔で、
松島と北原を交互に見ている。

その反応が可愛くて自然と微笑んでしまう。

「歳は今年で30です。
身長は180ありますが、それが何か授業と関係がありますか?」

睨みをきかせながら、感情は抑えて冷静に答える。

「他に質問がないのでしたら終わりにします。」
授業を切り上げようとすると、今度は中山紗奈の隣りのショートヘアの女子が手を挙げる。

「お名前は?」
要は指名しながら聞く。

「佐野晶です!
先生に質問です。なぜ、先生は住宅設計を専攻したのですか?今後の進路の参考にしたいのでお聞かせください。」

ハキハキした歯切れの良いしゃべり方が良かったので、要は話す事にした。

「自分がこの道に進んだのは、
人が住む家がどの建物よりも、究極に面白いからです。

住む人それぞれに違う考えや思い、生き様がある様に、それぞれの住処も一つとして同じで無くていいと十人十色だと思います。

設計において住宅は一番重要な建築物だと思っています。」

彼女、
中山紗奈と一瞬目が合いドキッとする。

彼女の真っ直ぐな眼差しが眩しくて、
内心動揺してしまう。

なぜ彼女にだけ心が反応してしまうのか?

要は疑問に思いながら、
それでも外見は冷静を保ち授業を終えた。
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