クールな准教授は密かに彼女を溺愛する

放課後、要は今日出した小テストの採点をしながら考えていた。

丁度紗奈の解答用紙だ。
丸い可愛い字で丁寧に書かれた答えに丸を付ける。

大学で小テストをやる先生は少ないと思う。
どこか、教授も生徒も授業はやっつけ仕事で淡々とこなすだけの人も多い。

授業中、どれだけ覚えて考えを巡らせたのかを知りたいし、生徒一人一人をちゃんと採点したいと思い1年前から始めた。

さすがに毎日は無理だが、週一でどの日とは決めず突然小テストをする。

生徒にとっては傍迷惑かも知れないが、授業でのそれぞれの心持ちを感じる事が出来て、成績表の採点もつけやすくなった。

小テストの最後には必ず、今日の授業で為になた事、面白いと思った事などを書く欄を儲けている。

これで生徒達のヤル気や興味を知る事が出来る。
例えば、松島とかだとこの欄はいつもふざけた内容だ。

『先生はなぜいつも俺をみてくるのか気になります。寝ないでちゃんと聞いてますから心配しないで下さい』
お前なんか見てないし、と要は思う。
そう思うのなら近くに紗奈が居るからだろう。
授業中は出来る限り見ないように逆に意識しているつもりだ。
紗奈を見ると心が乱れ授業に集中出来なくなってしまう。

不思議と、どこに居ても紗奈をすぐ見つけてしまう。
今日は特に手紙をもらった後だから無意識に目で追ってしまってたのかも知れないなと反省する。
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