クールな准教授は密かに彼女を溺愛する

松島の解答にはこう記入した。
『居眠りしてたら評価を落とすので、寝ないように頑張って下さい。』
コイツ、彼女にちょっかい出してはいるが、最近居眠りはして無いな。

紗奈の解答は真面目そのものだ。
『住む人に寄って動線が違う事。生活事情や使う時間帯など、細かな聞き取りが必要な事。とても為になりました。』
今日の授業は人の動線についてだった為、授業内容をちゃんと聞いていると率直に思う。

少し考え、こう記入する。
『自分が良いと思った動線でも、他の人にとっては動きづらい時があります。個々の聞き取りや住まう人の年齢、時間帯等も考慮して設計出来ると良いと思います。』

これも教師として、模範解答だと思う。
何の面白味もないアドバイスだ。

ここに早速あの付箋を貼ろうと思い付く。

机の引き出しからそっと手紙を取り出して、付箋を一枚剥がす。

そこには、お手伝い券と彼女の字で書いてあり、可愛いウサギのイラストも小さく描いている。

『金曜日の昼休みに書庫の整理をします。
時間が空いていたら、昼食後手伝いに来て下さい。』

これで彼女は時間が出来次第来てくれるだろうか。
誰にも邪魔されたくないと密かに思ってしまう。
白石には絶対悟られ無いようにしないといけない。

普段、小テストは教科担当の生徒に配ってもらうが、これは帰り際、1人1人に手渡す事にしようと決める。
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