クールな准教授は密かに彼女を溺愛する

「早速、やってもらいたい事の詳細を話します。」

北原先生がタブレットを持って、一緒に見る様にとソファの横に座るよう促してくる。

「はい。」

「隣の部屋が書庫になっていて、この階の教授やゼミ生、研究生が普段使うのですが、その管理を下っ端の自分が任されています。

半年に一回棚の整理整頓をするのですが、それを今日やってもらいたいと思います。
1日で出来る量では無いので、もちろん一緒に手伝いますし
ゼミ生にもお願いしたいと思ってます。」

要は仕事内容をタブレットを使って事細かに説明する。

紗奈は時間が気になってくる。

「先生、良かったらお昼食べながら説明してくれていいですよ。
貴重なお昼休み無くなってしまうと食べれなくなっちゃいます。」
心配顔で見てくる紗奈に、
思わず、ハハハっと声を出して笑う要。

「自分の昼食まで心配してくれてありがとう。
大丈夫ですよ。結構早食いなので5分あれば食べきれますから。」

楽しそうにそう言って、紗奈の頭をポンポンする。
「中山さんは気遣いし過ぎです。
いつもそんな感じですか?
疲れませんか?」

「あっ…。いえ。心配症なだけです。」
恥ずかしくなって目線を外す。

「とりあえず、書庫に行きましょうか?
大丈夫です。ちゃんとおにぎり持っていきますから。」

そう言って要は立ち上がり、おにぎりを2つ紗奈がくれたペットボトルが入ったビニール袋に入れる。

「本当は書庫では飲食禁止なんですけど、内緒ですよ。」
と口の前で人差し指を一本出して言う。

先生の指、長いなぁっとぼんやり紗奈は見つめてしまう。
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