クールな准教授は密かに彼女を溺愛する

金曜日の放課後、

北原先生の書庫の整理に行きたい気持ちをグッと抑え学校を後にする。

優衣の友達のナイトワーク経験と一緒に、近くの繁華街に行く。

まだ、若干太陽の光が残る夕方5時過ぎ。

緊張した面持ちで、紗奈は優衣の友達、芽衣が紹介してくれるラウンジと言う所にむかう。

こう言う世界にまったく疎い紗奈には全てが新しく、煌びやかな感じが場違いに思い腰がひける。

「ここだよ。」
と芽衣が立ち止まったのは黒が基調なシックなレストラン風な外見のお店だった。

芽衣が言うには、クラブよりは敷居が低く、キャバクラよりは落ち着いていて、初心者にはラウンジの方が向いているらしい。

「お疲れ様です。オーナーいますか？
働きたいって言う子を連れて来たんですけど。」

入ってすぐにバーカウンターみたいな所があり、その中のバーテンダーらしき男性に芽衣は声をかける。

「久しぶりだね。めくちゃん！
今、オーナー呼んでくるね。
その子が今日面接の子？
初めまして。ここのバーテンダーをしてる、豊です。」
カウンターから握手を求められる。

紗奈は戸惑いながらおずおずと手を差し出して、
「初めまして。中山紗奈と言います。
よろしくお願いします。」
小さくペコリとお辞儀する。

「可愛い子だね。
オーナーも喜ぶよ。奥のボックス席で待ってて。」

「はーい。」と芽衣が返事して、こっちこっちと紗奈を手招きする。

「紗奈ちゃん、緊張してるよね。
初めはなんだって緊張すると思うけど、慣れだよ慣れ。1か月くらいできっと慣れちゃうから大丈夫。」
ニコッと笑って、紗奈の緊張をほぐしてくれる。
「さっき、めくちゃんって呼ばれてましたね。名前は自分で考えたんですか？」

「プライバシーを守る為に、みんな源氏名を付けるんだけどね。私は自分で考えたけど、オーナーやさっきの豊さんが考えたりしてくれるよ。」

「そうなんですか…。」
何処となく居心地が悪い紗奈は周りをキョロキョロしながら芽衣に質問する。