クールな准教授は密かに彼女を溺愛する
トントン。ノックの音で要はハッとして我に返る。
紗奈を近くに感じて、離したくなくなって、衝動的に思わず腕の中に閉じ込めてしまった。
理性が働かない。
身体が勝手に彼女を求めてしまう。
これ以上2人きりになるのは危険だと、シグナルが鳴っている気がする。
超えてはいけない壁を、飛び越えようとする自分がいる。
彼女はどう思っただろう?
怖がらせてしまったかもしれない。
彼女が書庫に来る少し前、
購買で昼食を買おうと校庭を歩いていると、彼女が木陰のベンチでお弁当を食べている姿を見つけた。
横には松島しか居ない。
2人だけ⁉︎
確かに、普段から紗奈の周りをウロウロしてはいたが、2人だけの時は一度も無く、紗奈の友達の晶は松島を追い払う仕草をよくしていたから、少し安心していた。
衝撃的過ぎて思わず足が止まる。
声をかけるべきか⁉︎
ショックを受け過ぎて頭が上手く回らない。
今、2人の前に行ったら気持ちを抑えられそうにない。
早足でその場を立ち去る。
心臓が嫌な音を立てて高鳴る。
彼女は誰のものでもない。もちろん、自分の物でも…。選ぶのは彼女自身だ。
その後に2人きりになって、アクシデントが重なりどうしようも無く愛しくて、可愛くて、衝動的に触れてしまった。