クールな准教授は密かに彼女を溺愛する

トントン。ノックの音で要はハッとして我に返る。

紗奈を近くに感じて、離したくなくなって、衝動的に思わず腕の中に閉じ込めてしまった。

理性が働かない。
身体が勝手に彼女を求めてしまう。

これ以上2人きりになるのは危険だと、シグナルが鳴っている気がする。

超えてはいけない壁を、飛び越えようとする自分がいる。

彼女はどう思っただろう?
怖がらせてしまったかもしれない。



彼女が書庫に来る少し前、

購買で昼食を買おうと校庭を歩いていると、彼女が木陰のベンチでお弁当を食べている姿を見つけた。

横には松島しか居ない。

2人だけ⁉︎

確かに、普段から紗奈の周りをウロウロしてはいたが、2人だけの時は一度も無く、紗奈の友達の晶は松島を追い払う仕草をよくしていたから、少し安心していた。

衝撃的過ぎて思わず足が止まる。

声をかけるべきか⁉︎

ショックを受け過ぎて頭が上手く回らない。

今、2人の前に行ったら気持ちを抑えられそうにない。

早足でその場を立ち去る。
心臓が嫌な音を立てて高鳴る。

彼女は誰のものでもない。もちろん、自分の物でも…。選ぶのは彼女自身だ。

その後に2人きりになって、アクシデントが重なりどうしようも無く愛しくて、可愛くて、衝動的に触れてしまった。


< 65 / 182 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop