クールな准教授は密かに彼女を溺愛する
要は考える。

きっと仕送りは無いだろうし、バイトをしないと生活出来ないんだろう。

自分にはこれ以上彼女のプライバシーに踏み込む権利が無い。
出来れば、遅い時間帯に出歩いて欲しく無いし、自分をもっと大切にして欲しい。

はぁーとため息を吐く。

「あなたが思うよりも、あなたの事を心配している人は沢山いると言う事を忘れないで下さい。」
要がポツリと呟く。

紗奈はなんて答えるべきか分からず、ただ頷く。

2人の間に沈黙が流れる。

超えてはいけない壁を要はもどかしく思い、それでもどうにかして紗奈を助けられないか模索する。

紗奈は要にこれ以上心配させない為にどうするべきか考えてしまう。

チャイムが鳴り2人手を止める。

「時間が来てしまいました。また、明日にしましょう。」

「…はい。
明日もお弁当作ってきていいですか?」

「あなたの負担になら無いですか?無理しない程度でお願いします。」
 
「無理はしてません。どうせ、自分の分を作るので大丈夫です。」
紗奈はふわりと笑って、頭を下げて部屋を出ていった。

要はしばらく紗奈が出ていったドアを見つめ、どうしようもないもどかしさでいっぱいになっていた。
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