クールな准教授は密かに彼女を溺愛する
「私、先生の設計のファンなんです。
どの作品も興味深くて斬新で、北原助教授には敵わないといつも完敗しています。」
「ありがとうございます。
授業の合間に作成しているのでなかなか数は出せませんが」
要は失礼の無いよう話し、しかし出来る限り距離を保つよう心がける。
相手が独身女性の場合、いままでの経験上いつも以上に警戒してしまう。
「良かったら、明日学会後に夕食でもご一緒しませんか?」
松永は、少しお酒が入っているのかさっきからやたら距離が近くやたら腕を絡ませようとしてくるので、要は引き気味にあしらい続けている。
基本、女性不信で警戒心が強い為、知らない相手からべたべたされる事に嫌悪感を抱く。
「すいませんが、明日は知り合いの教授と飲みに行く約束があります。」
やんわりと断りを入れる。
相手は諦めずに、
「では、新しい商業ビルの視察には行かれますか?ぜひ、ご一緒に回りたいのですが。」
「あーー、一緒に来ている教授の手伝いがあり忙しいので、のんびり回る事は出来ないんです。すいません。」
と頭を下げ、逃げ回るのにも限界を感じ、「お手洗いへ」と言ってその場をそそくさと去る。