クールな准教授は密かに彼女を溺愛する
はぁー。
今でも積極的な女性には嫌悪感しか湧かない。心無しか頭痛もしてきた。
紗奈に会いたいと無性に思う。
優しい声を聞きたい。
彼女の笑顔をみて癒されたいと思う。
気持ちを入れ替える為ホテルの外に出て、少し近場を散策する。
スリーピースで正装している為、財布やカバンは持ち合わせて無いが気の向くままにぶらぶらと歩く。
ふと、ショーウィンドウに飾られた万年筆に目がいく。
赤と黒2本色違いで作られた物らしく、折り鶴がデザインされていて美しい。
彼女にどうかと考える。
大学生の彼女にとって万年筆を使う機会は無いだろうか?
要は職業柄、何かのサインの時など万年筆を使うので何本か持ってはいるが実用的なものしか無い。
お祝い事にもプレゼントされる物だし、お揃いを身に付けるには目立たず丁度良い。
値段も一万円前後で万年筆の中ではお手頃だ。
密かに同じ物を持つワクワク感に惹かれ、勢いで店の中に入り明日買いに来ますと告げる。
お土産にしては少し重いかもしれないが、彼女なら大事にしてくれるはずだ。
出来れば毎日持ち歩いて、これを機に万年筆を好きになってもらえたら嬉しい。