クールな准教授は密かに彼女を溺愛する
月曜日、北原先生がいないゼミはちょっと寂しくて先輩達も早めに切り上げ帰って行く。
明日には会えるから、この後のバイト頑張ろっと紗奈は思う。
バイトも少しは慣れてきた。
水割りの作り方やおしぼりの出し方も様になってきたとオーナーに褒められた。
でも、未だに知らないおじさんに手を握られると怖いと思うし、肩を抱かれたらどうしていいか分からない。
お姉さん達みたいに上手くあしらえる様になりたいと思う。
お金の為だと思ってなんとか辞めずに4か月になる。そろそろ貯金も出来るくらいになってきたので、実家に少し仕送りもしたい。
「おはようございます。」
バーテンダーとオーナーにあいさつをして店に入る。
いつものようにドレスを選ぶ。
普段の紗奈だったらまずは着ない肩出しの黒にスパンコールがキラキラ輝くAラインのドレスが紗奈用だと名札が付けてあった。
何が自分に似合うか分からないと以前、オーナーに話したら、『私が選んであげる』と言われ、それ以来お願いする事にした。
こんな服なんて自分が着る事なんて一生無いと思っていたのにとため息を付く。
お化粧は同じ時間に入ったお姉さんがいつも取っ替え引っ替えやってくれるので、お任せ状態だ。
つけまつ毛なんてした事ないし、アイメイクだって良く分からない。
「紗理奈ちゃんは目が大きいから羨ましいなぁ。マスカラもアイメイクもやり易いもん。」
「そうなんですか?普段はファンデーションと眉毛くらいしかしないので、よく分からないです。」
「そうなの⁉︎
勿体ない。もっと着飾ればモテモテになるよ絶対。」
「私、ずっと女子校だったのでそう言うの分からないって言うか、未知の世界です。」
「なんか、紗理奈ちゃんらしいね。
ずっーとそのまま擦れないで真っ直ぐ育ってね。
嫌な客いたら助けてあげるから合図するんだよー。」
「ありがとうございます。」
紗奈はニコリと微笑む。
「できるだけ一緒の席に着こうね。」
「はい。」
お姉さん達は初心者な紗奈を何かと気にかけてくれて助けてくれる。
落ち込んでると励ましてくれるし、良い人ばかりだ。
「紗理奈ちゃん達、支度出来たら入ってねー。」
「はーい。今行きます。」
今夜は月曜だからそんなにお客様も少ないだろうと思う。