クールな准教授は密かに彼女を溺愛する

紗奈は隣の客に手を握られたまま、困り顔でやんわり外そうと試みる。

不意に引っ張っれて身体が傾く、客の手が紗奈の肩に周り抱き寄せられる。
と、思った途端…

「彼女に触れるな。」
低くよく通る声が聞こえ、ハッとして振り返る。

「えっ…先生…。」
びっくりして目を見開き紗奈は固まる。
衝撃のあまり頭が真っ白になる。

「来て。」
腕を強く引っ張られ半ば強引に立ち上がらせると、先生はそのまま踵を返して出口に足早に向かう。掴まれた手首が痛い。紗奈は小走りになりながら泣きそうな顔で着いていくしか無い。

バーカウンターで「知り合い?」と、バーテンダーに聞かれ、紗奈はうんうんと首を縦に振る。
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