クールな准教授は密かに彼女を溺愛する
要は紗奈を待っている間、ある人に連絡する。

「前島さん。お久しぶりです。
近くに居ますか？
すいませんが、送迎してもらう事は出来ますか？」

長年に渡り北原家の運転手をしている前島は、今夜も兄の送迎で待機中だった。
「すぐに行きます。」と二つ返事で迎えに来てくれる。

要は決断した。このまま紗奈を連れ帰ろうと。

一旦自分の荷物を取りに店に入る。

入口にはバーテンダーとオーナーが居た。

「すいません。お騒がせして、荷物を取りに来ました。」

オーナーは預かっていた要の荷物を渡す。

「学校の先生だとお伺いしましたが、何故紗奈ちゃんを連れ出すんです？
彼女は何も悪い事はしていませんよ。」

「分かっています。
彼女の家の事情も知っていたのに、今まで何も動かなかった自分がいけないんです。」

「先生に何の義務が？
紗奈ちゃんは自分の意思で働いていますし、先生に迷惑をかける事は何一つありませんよ。」

「そうですね…。
どこで働こうが彼女の自由ですし、一教師の自分がどうこう言う立場ではない事は重々分かっています。

ただ、嫌なんです。彼女が誰かに触れられ事が。」
熱く真剣な目で話し、「外で待ちます。」と、要は店を出る。
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