クールな准教授は密かに彼女を溺愛する
ホテルの様なロビーにはコンシェルジュが2人居て、「おかえりなさいませ。」と頭を下げる。

要は軽く会釈をして、紗奈を抱き上げたまま平然とエレベーターに乗り込む。

後ろに目線を向けると、前島からの荷物を受け取っているコンシェルジュが見えたが、エレベーターの扉は無情にも閉まってしまう。

2人っきりになった事に気付いた紗奈の心拍は、益々高鳴り息苦しさを覚える程だった。

「ここは、先生のご自宅ですか?」
ビクビクしながら紗奈は訪ねる。

「そう。」
少し笑う要とは裏腹に紗奈は不安で泣きそうになる。

「心配しなくで大丈夫。」

エレベーターは最上階で止まり、要は廊下を歩き玄関らしき開戸に手をかざす。

ガチャンと音がして、開戸が自動で開く。
目を丸くして、紗奈は只々驚く。

「両手が塞がってる時、便利でしょ?」
要は靴を脱いでスタスタ先を歩く。

紗奈も慌てて抱き上げられながらも、靴を脱ごうと手を伸ばす。

不意にフワッとソファに降ろされ体勢を崩してソファにもたれてしまう。それでも慌てて靴を脱ごうとするが、それすらも要に脱がされてしまう。
「あ、ありがとうございます…。」
紗奈は赤くなりながら俯く。

「気にしないで。とりあえず一息つこうか。コーヒーでいい?」

「あっ。お構いなく。」
慌てて言うが要はスタスタ玄関に靴を置きに行ってしまう。
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