あなた私の夫と不倫してますよね?
3
数日後。
一人目のターゲットの近藤日和さんを、
この人の職場近くの喫茶店へと夕方呼び出した。
「夕べ、電話でも、話した通りです。
あなた、私の夫と不倫してますよね?」
そう切り出すと、目の前の近藤日和さんはガクガクと震えている。
この人と携帯番号やLINEを交換するように、楓に指示を出していた。
そして、楓から私にそれが伝わっていて、夕べ、私がこの人の携帯番号に電話をした。
「あの、中村さんとは一度きりで!
もう絶対に彼と会ったりしませんから!
あの美容室も、もう行きませんから!」
そう必死なこの人の姿を見ていて、
なんだか、おかしな話だけど、怒りが湧いて来る。
私が差し向けて、楓と関係持たせたのに。
なのに、なに人の夫に手を出しているんだ、と、そんな気持ちが湧く。
「実は、探偵に頼んで写真を撮って貰いました。
以前から、楓、少し帰りが遅い時とかあって、行動が怪しかったので。
そんな一度だけとか、信じられない」
この話、実は少し本当。
帰りが遅くて、怪しいって部分。
その謎は、スロットやってたのだと、もう分かっているのだけど。
「本当に、中村さんとは一度だけなんです!」
そう言う彼女の前に、数枚の写真を並べる。
そこには、あの日私が撮った、楓と近藤日和さんがラブホテルに入る所と、出て来る所の写真。
「後、楓本人が認めました。
楓もあなたとは、一度きりだと言ってましたが、それが本当かどうかは」
そう、濁す。
その辺りは、変に嘘を盛らない方がいいだろう。
一度だけしか関係を持っていないのは、私だって知っているけど、
二人のその言葉を、私は信じていない体で行く。
一度きりの関係より、断続的な方が、その罪は重いから。
言葉を無くしている、近藤日和さんにさらに私は畳み掛ける。
「あなたと夫とのやり取りのLINEも、見せて貰いました」
その言葉に、近藤日和さんの顔は、真っ青になって行く。
そのLINEの内容は、楓に対して好きだというのは勿論、
奥さんと別れて欲しいとか、そんな事迄。
楓は当たり障りなく初めはそれを返していたが、途中からは既読無視で、最終的には、もう見てすらいなかった。
代わりに、私が見てあげたけど。
私の夫への、この人の愛のメッセージ。