恋におちたとき
「ドレス、しわになる」
「レンタルだろう?」
「そういう」

 問題じゃない。と言いかけて、胸への刺激に言葉が途切れた。

「あんっ」
「白レースのコルセットにガーターベルトって、最強にエロいよな」

 それには確かに同意する。ブライダル用に揃えた下着は、コルセットを兼ねたロング丈のブラジャーに、ガーターベルト、白いストッキング。ガーターベルトなんてつけたことなかったから、正直ときめいた。

 なんてつい意識をそらしたら、背後から衣擦れの音がした。彼がタキシードを脱いでドレスの上に落とし、レンタル返却品の山を積み上げてゆく。互いに下着姿となると抱きかかえられ、そっとベッドに横たわらされた。

「可愛い」

 彼がそう言って私に微笑みかける。そしてまたキスをしてきたので、応えるように腕を伸ばして彼の首に巻き付いた。そのままの勢いで、自分から噛み付くようなキスをし返す。舌を絡め、口の中を蹂躙する。彼は口の中の主導権を私に明け渡す代わりに、乳房をゆっくりと揉みだした。

「んん」

 ロング丈のブラジャーでは、カップを揉みしだいても素肌に触れることが出来ない。彼の手の感触を確かめたいのに、布地に阻まれてしまう。ついそんな不満がため息として漏れてしまった。くすりと笑われると、うつ伏せにひっくり返される。まるで仕切り直されるみたいにうなじを舐められ、そこから背骨を唇でたどられた。表側の布面積が広い分、背中はがっぱりと開いている、さすがブライダル仕様だ。

「綺麗な背中」

 そうつぶやいて、肩甲骨の下をキュッと吸われる。それをきっかけに、背中いちめんにキスのシャワーが降り注ぐ。素肌に感じる、彼の唇の温もり。胸の代わりにお尻を揉まれ、爪の背を使って肌をなぞられ、その官能が立ち上がる感覚にビクビクした。

「あっ、あ……」
「ガーターベルトって、ショーツの下につけるものなの?」

 そんな問いかけに背後を振り返ると、彼の指がショーツにかかっていた。

「でもそうか。トイレ行くとき、ベルト外すのいちいち大変だもんな」

 一人で答えを出して、納得している。快楽に回らない頭でぼんやりと彼を眺めていたら、にっこりと微笑まれた。

「腰、上げて」

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