カーテン越しの君【完】
繋がり合う思い出
教室に戻るセイに付き添った養護教諭は、ほんの僅かな二人の会話を耳にしていた。
「彼女と友達になったの?」
「いや、彼女とは元々友達だった」
その一言だけを口にしたセイは、紗南が語った思い出と自分の思い出を重ね合わせた。
声楽教室。
星型の飴と。
大雪の日の再会の約束。
彼女が再会を願ってる人は自分に違いない。
セイは紗南よりも先に自分達が再会していた事を確信していた。
紗南が語った思い出は、セイにとっても色褪せない思い出であり、互いの大切な思い出同士は未だにしっかり繋がっている。
幼い頃の彼女に渡した星型の飴は、自分の名前の一星の一文字であり、昔から星形が好きだったから。
歌が思うように歌えなくて、悔し涙を浮かべていた好きな子に笑顔になって欲しいから、いつも欠かさず鞄の中に飴を入れて持ち歩いていたのは紛れもない事実だった。