【書籍化に伴い冒頭のみ公開】クールな御曹司の溺愛ペット
秘書として
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片山千咲様
先日はお忙しい中、弊社にお越しいただきまして、ありがとうございました。
さて、慎重に選考を重ねました結果、今回については採用を見送りとさせていただくこととなりました。
末筆ながら、片山様の今後のご活躍をお祈り申し上げます。
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「はぁー」
パタンとノートパソコンを閉じる。
もう何度目のお祈りメールだろう。
何社受けたかなんて数えるのも飽きた。
この会社だって、こんなに丁寧なメールをしてくるくせに、面接では酷いものだった。
『うーん、君ねぇ、うちの会社で何ができるのかなぁ?これといって資格も持ってないみたいだし。秘書検定二級ねぇ。うちでは使えないよねぇ』
それに対してどう答えたか、覚えていない。
そんな風に批判するならば、書類選考の時点で落としてくれればよかったのに。なぜ面接に来いと言ったのか、そっちの方を聞きたいものだ。
「はぁー」
私は何度目かもわからないため息をついて机に突っ伏す。
これでもう選考中の会社はなくなってしまった。
働くためにはまた求人情報を吟味して、エントリーをしなくてはいけない。
正直、まいってる。
就職が決まってないのは私だけなんじゃないかな。ていうか、就職できる気がしない。