恋がはじまる日
打ち上げ会場である駅前のカラオケ店へと到着すると、クラスメイトのほぼ全員が集まっていた。すごい出席率だ。
打ち上げが始まって数分。
次々と運ばれてきた料理を食べながら、私は盛り上がっているクラスメイト達の歌を聞いていた。人前で歌うのが苦手な私はなるべく歌わずに済むように隅でご飯を食べることにする。桜ちゃんや雪乃ちゃんはそのことを知っているので、代わりと言っては何だが、私が楽しめるように料理をたくさん持ってきてくれていた。さしてお腹が空いていたわけではなかったのだけれど、あまりに料理が美味しく、私はちょっとしたファミレスに来た気分だった。
デザートに苺パフェを食べながら女子三人でお喋りしていると、「はぁー疲れたー」と椿が私の隣に腰を降ろした。
椿は打ち上げが始まってからずっと歌いっぱなしで、ようやく一息つけたところのようだ。
「男子俺とばっか歌ってないで、女子誘えよな」
そう楽しそうに文句を言いながら、手近にあったメロンソーダを一気に飲み干す。
「あはは、人気者は大変だねぇ、お疲れ様!」
「美音は歌わなくていいの?一緒に歌う?」
「私が人前で歌うの苦手だって、知ってるでしょ?」
「だよな、ごめんごめん。あ、これうまそう!」
テーブルに並んでいたポテトと唐揚げのお皿を取り、食べ始める椿。
「私達、ちょっとお手洗いに行ってくるね」
「あ、うん」
桜ちゃんと雪乃ちゃんはやたらと笑顔でそう言って、席を立ってしまう。
その姿を不思議に思いながらも、私は隣でひたすらにポテトを頬張っている椿に声を掛けた。
「椿、やっぱり藤宮くんと仲良いんだねぇ、打ち上げにも積極的に呼んでたし。この前は仲良くない~とか言ってたけど」
椿は「んん!?」と変に驚きながら、慌てて口の中のものを飲み込んだ。
「いやほんと前も言ったけど、どこをどう見たら俺達が仲良いなんて誤解できんの」
「えー?だって、気にかけてるじゃん。私と話してないで、おしゃべりしに行ってもいいんだよ?」
椿にしては珍しく盛大にため息をつく。
「別に話さなくていいし!…まぁ、なんていうかフェアじゃないかな、って思ったんだよ」
「なんの話?」
「あ、いや!あいつだって文化祭も体育祭も頑張ってたし、用事もないのに打ち上げ来ないって、なんかむかつくだろ?」
「ふーん」
そんな感じなのね。男の子の友情って難しいな。なんとなくすんなり納得できないでいると、「もういいだろ、藤宮の話なんて」と打ち切られてしまった。
打ち上げが始まって数分。
次々と運ばれてきた料理を食べながら、私は盛り上がっているクラスメイト達の歌を聞いていた。人前で歌うのが苦手な私はなるべく歌わずに済むように隅でご飯を食べることにする。桜ちゃんや雪乃ちゃんはそのことを知っているので、代わりと言っては何だが、私が楽しめるように料理をたくさん持ってきてくれていた。さしてお腹が空いていたわけではなかったのだけれど、あまりに料理が美味しく、私はちょっとしたファミレスに来た気分だった。
デザートに苺パフェを食べながら女子三人でお喋りしていると、「はぁー疲れたー」と椿が私の隣に腰を降ろした。
椿は打ち上げが始まってからずっと歌いっぱなしで、ようやく一息つけたところのようだ。
「男子俺とばっか歌ってないで、女子誘えよな」
そう楽しそうに文句を言いながら、手近にあったメロンソーダを一気に飲み干す。
「あはは、人気者は大変だねぇ、お疲れ様!」
「美音は歌わなくていいの?一緒に歌う?」
「私が人前で歌うの苦手だって、知ってるでしょ?」
「だよな、ごめんごめん。あ、これうまそう!」
テーブルに並んでいたポテトと唐揚げのお皿を取り、食べ始める椿。
「私達、ちょっとお手洗いに行ってくるね」
「あ、うん」
桜ちゃんと雪乃ちゃんはやたらと笑顔でそう言って、席を立ってしまう。
その姿を不思議に思いながらも、私は隣でひたすらにポテトを頬張っている椿に声を掛けた。
「椿、やっぱり藤宮くんと仲良いんだねぇ、打ち上げにも積極的に呼んでたし。この前は仲良くない~とか言ってたけど」
椿は「んん!?」と変に驚きながら、慌てて口の中のものを飲み込んだ。
「いやほんと前も言ったけど、どこをどう見たら俺達が仲良いなんて誤解できんの」
「えー?だって、気にかけてるじゃん。私と話してないで、おしゃべりしに行ってもいいんだよ?」
椿にしては珍しく盛大にため息をつく。
「別に話さなくていいし!…まぁ、なんていうかフェアじゃないかな、って思ったんだよ」
「なんの話?」
「あ、いや!あいつだって文化祭も体育祭も頑張ってたし、用事もないのに打ち上げ来ないって、なんかむかつくだろ?」
「ふーん」
そんな感じなのね。男の子の友情って難しいな。なんとなくすんなり納得できないでいると、「もういいだろ、藤宮の話なんて」と打ち切られてしまった。