恋がはじまる日
私をぎゅっと抱きしめる藤宮くんの腕は優しくて、とても温かかった。
急に抱きしめられて混乱した私は、口を開こうと顔を上げようとして、そのまま彼の肩に押し付けられた。
「わ、っぷ」
「顔、上げるな」
心臓が破裂しそうなくらいに鳴っている。でもこれは、このドキドキは私のものだけじゃない?藤宮くんもドキドキしてるの?
落ち着かない気持ちで彼に抱きしめられたままでいると、上から
「俺も、佐藤が好きだ」
そうはっきりと聞こえた。
「うそ!」
藤宮くんの言葉に思わず驚いて彼の顔を見上げると、また顔を肩に押し付けられる。
「顔上げるなって言っただろ」
一瞬見上げた彼の顔は、見たことがないくらい赤くなっていて、照れているように見えた。
見間違い?夕陽のせい?
浅くため息をついた後、藤宮くんは話し出す。