恋がはじまる日
告白のそれから
想いを伝え合った次の日、私はいつもより早くに目を覚ました。
昨晩から降っている雪は、きっと今朝もまだ降り続いているのだろう。辺りは薄暗く、外は静かだった。時計の針の音だけが、部屋中に響き渡っている。
「うう、寒い…」
毛布にくるまりながら、私はスマホを充電器から抜き、手元に引き寄せる。まだ起きるには少し早い。けれど、もう一度寝ようという気にはならなかった。
スマホをタップし、メッセージアプリを起動する。
猫のアイコンの横に、藤宮、と書かれたトークルームを開く。
昨日の夜、藤宮くんとやり取りしたほんの数行を、私は何度も読み返した。
さとう みお 『送ってくれてありがとう。風邪引かないように暖かくしてね。おやすみなさい』
ネコのスタンプ
藤宮 『佐藤も。おやすみ』
私は布団の中でじんわりと喜びを嚙みしめていた。
ああ、昨日のことは夢じゃなかったんだ。私、藤宮くんと両想いになれたんだ…!
まだまだ実感は湧かないけれど、昨日のことは夢なんかじゃない。お互いに気持ちを伝え合って、連絡先も交換した。このメッセージが何よりの証拠だ。
好きな人と両想いになれた、そのことが私の心を温かく満たした。
スマホを高く掲げる。
「現実だ…!!」
早く学校に行きたい。藤宮くんに会いたい。
私はいてもたってもいられず布団から飛び起きると、少し早いけれど身支度を整えることにした。