恋がはじまる日

「正直三浦は一緒じゃなくてよかったんだけど」


「はぁ?んなこと言って、ほんとは俺も一緒で嬉しいんだろ!」


「は?」


 そんな代わり映えのしない二人の様子を見て、私は嬉しくなる。


「今年は受験もあるけど、修学旅行もあるし、一緒に行事楽しもうね!」


 そう私が声を掛けると、椿は「おう!」と返事をしてくれた。藤宮くんはどうかなぁ、とちらっと彼を見上げると、丁度目が合って、私はそれだけでドキッとしてしまう。そんなどぎまぎしている私を見て、藤宮くんは優しく笑ってくれた。


 どちらともなく、こっそりと手をつないだ。


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