恋がはじまる日
「なに固まってるんだ?似合うって言われて嬉しかった?」
「え、」
そこで私はようやく、またしてもからかわれたことに気が付いた。
「あー!藤宮くん、またからかった!?」
なんとなくうまく話せないような気がしていたけれど、よかった、いつも通り話せてる、よね。
「変わらないな、お前は。お前さ、」
「ん?」
藤宮くんはそこで一呼吸おいて、少し真剣な面持ちで私を見た。
「冬のこと、覚えてるか?」
「え?冬?」
突然の質問に、私の脳内ははてなで埋め尽くされる。
冬?冬って今年の冬?なにかあっただろうか。そもそも藤宮くんは春に転入してきたのだから、冬はまだ私達会ってないよね?冬のこと、ってなんのこと?
私が頭を抱えている様子を見た藤宮くんは少し寂しそうに笑ったような気がした。