恋がはじまる日
「美音っ!おはよ!今年も同じクラスだ!よろしくな!」
「椿!おはよー」
元気な声の主は、幼なじみの三浦 椿(みうら つばき)だった。
家が隣同士で、小さい頃からずっと一緒に過ごしてきた幼なじみである。彼はいつも元気で明るくて、男女共に友達が多いクラスのムードメーカー的存在だ。
「今年も同じクラスってすごくね?小学校から数えると十一年連続?なんかすごい数字になってきたなー」
「ほんとだね!幼稚園から数えるともっと?」
「幼なじみパワーすごっ」
「あはは、だねぇ」
なんて他愛もないことで笑い合える、家族のような友人。今年も椿と同じクラスで私も嬉しい!
一通りそんな話で盛り上がっていると、彼はそうそう、と言って話題を変える。
「そういやさっき、百面相してなかった?」
「え、百面相!?」
変な顔をしていたのだろうか、と自分の頬を両手でもみほぐす。
「眉間に皺寄せながら唸ってたから、なにかあったのかな、って」
私の表情を真似してか、眉間にぐっと皺を寄せる椿。
ああそうでしたそうでした、今朝のことですよ。
「椿、ちょっと聞いてくれる!?」
「お?おう」
一人で悶々としていても仕方がない。
私は机から身を乗り出すと、今朝の出来事を事細かに話して聞かせた。