恋がはじまる日

「美音っ!おはよ!今年も同じクラスだ!よろしくな!」


「椿!おはよー」


 元気な声の主は、幼なじみの三浦 椿(みうら つばき)だった。

 家が隣同士で、小さい頃からずっと一緒に過ごしてきた幼なじみである。彼はいつも元気で明るくて、男女共に友達が多いクラスのムードメーカー的存在だ。


「今年も同じクラスってすごくね?小学校から数えると十一年連続?なんかすごい数字になってきたなー」


「ほんとだね!幼稚園から数えるともっと?」


「幼なじみパワーすごっ」


「あはは、だねぇ」

 なんて他愛もないことで笑い合える、家族のような友人。今年も椿と同じクラスで私も嬉しい!

 一通りそんな話で盛り上がっていると、彼はそうそう、と言って話題を変える。


「そういやさっき、百面相してなかった?」


「え、百面相!?」


 変な顔をしていたのだろうか、と自分の頬を両手でもみほぐす。


「眉間に皺寄せながら唸ってたから、なにかあったのかな、って」


 私の表情を真似してか、眉間にぐっと皺を寄せる椿。


 ああそうでしたそうでした、今朝のことですよ。


「椿、ちょっと聞いてくれる!?」


「お?おう」


 一人で悶々としていても仕方がない。
 私は机から身を乗り出すと、今朝の出来事を事細かに話して聞かせた。
< 7 / 165 >

この作品をシェア

pagetop