【完結】私の夫は、絶賛不倫中
繭子と翼は仲睦まじそうに手を繋ぎながら、私がいる方向とは別の方向へと歩いていく。
「え……ちょっと待って……」
あの方向に行くと、確か向こう側には……ラブホテルがいくつかある。
まさか、今二人が行こうとしてるのって……。
「ウソでしょ……」
信じられないーーー。
「っ……」
私はそこに立ち尽くしたまま、呆然とした。
翼は今日、友人と出掛けると言っていた。 そして繭子は、風邪を引いたから行けないと確かに私に言った。
まさか二人は、私にウソを付いてたの……? ウソを付いて、こうして二人で遊んでたってこと……?
「そんな……」
立ち尽くしたままの私に気づくこともなく、翼と繭子は楽しそうに笑い、ラブホテル街へと姿を消して行った。
私はそんな二人の後を追うことも出来ず、ただ呆然とした。
……でも今思い出した。確かに繭子は彼氏がいると言っていた。
でもその人には奥さんがいると、そう言っていた。いわゆるその彼氏とは、不倫関係にあると。
まさか繭子の言うその彼氏って……翼のことなの?
確かに私たちに子供はいない。 繭子の彼氏にも奥さんはいるけど、子供はいないと言っていた。