【完結】私の夫は、絶賛不倫中


 まさか……その妻ってーーー。

「私、のこと、だったんだ……」

 その妻というのは、【私】のことだったんだね、繭子……。

 でもよく考えたら、繭子は翼の顔も名前も知っている。だって繭子が、私に翼のことを紹介してくれたから。
 結婚する時にも、私は繭子に一番に報告をした。繭子だっておめでとうと喜んでくれていた。
  
 なのになんで……。なんで繭子と翼が、不倫関係にあるの?
 そんなのおかしいよ……。私は、繭子に騙されてたってこと? 翼にも騙されたってこと?

「そんな……」

 そんなの……あり得ない。 そんなの絶対に、許せないよ……。
 でもよく思い出すと、繭子はあの時確かに、私にこう言っていた。

「奥さんとはもうすぐ離婚するからって、相手はそう言ってるの」

「でも、まだ離婚した訳じゃないんだよね?」

「そうね。……でも絶対に離婚するって、そう言ってる」
 
 繭子は確かに、私にそう言ったーーー。

「もちろん、信じてる訳じゃない。……でも私、どうしようもなく彼が好きなの。どうしようもなく、惚れちゃってるの」

 繭子は少し寂しそうにそうも言っていた。
 あの言葉の意味からしたら、翼は私との離婚を考えているってこと……?
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