【完結】私の夫は、絶賛不倫中


「柚衣、ただいま」

 今日は夜九時半くらいに、翼は帰宅した。

「おかえりなさい」

「遅くなってごめん。ちょっと用事があって寄るとこがあって、遅くなった」

 そんなのは言い訳にしか、聞こえない。どうせまた繭子と、不倫でもしていたのだろう。
 それしか絶対にない。

「帰り遅くなるなら、そう言ってくれないと困る」

「……ごめん」

 私がこうやって強く当たる度に、翼は謝るだけだ。 私は別に謝って欲しい訳じゃない。

「本当にごめん。次からは気を付けるから」

「……そうして」

 あれから繭子とも会ってはいるけど、なんだか気まずくて前みたいに接することが出来ない。
 でも繭子には何も悟られたくないから、敢えて何も聞かない。 繭子から話してくれる訳もないだろうから、黙っておくしかない。

「私、お風呂入ってくるね。 ご飯食べるなら温めて食べて」

「分かった」

 スーツを脱ぎソファに掛ける翼の背中をチラッと見つめて、私はバスルームへと向かう。
 お風呂に入っている間、私は繭子にこの前話した内容を思い出していた。
 
【ねぇ繭子、ちょっと相談があるんだけど】

【何?どうした?】

【夫がさ、不倫してるみたいなの】
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