【完結】私の夫は、絶賛不倫中


「……そう、なのね」

 黙る私に、繭子は「だから柚衣には言えなかったのよ。……友達が不倫してるだなんて、イヤかなって思ったから」と俯く。

「……確かにちょっと、そう思った」

「だよね……」

 でも繭子は、どうしようもなくその人を好きになってるんだもんね。その気持ちってやっぱり、抗うことは出来ないんだよね……。
 私も翼のことを愛しているからこそ、よく分かる。翼のことを愛おしく思うその気持ちは、日に日に大きくなっていくばかりだから。

「でもさ、好きになっちゃったらもう、仕方ないよね」

「……え?」

 繭子は不思議そうに私を見る。

「分かるよ、繭子の気持ち。……私も、夫のことすごく愛してるから。出会った時からずっと、その気持ちは変わらないもん」

 これが女子ってことなのかも。その人を好きになることは悪いことじゃない。

「そうだよね……。悪いことだっていうのは、分かってるんだけどね」

 繭子は悲しそうに私に笑いかける。

「……繭子は、その人とどうにかなりたいの?」

「どうにかなれるなら……そりゃあなりたいわよ。 でも、それは無理だと思う」
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