黒い龍は小さな華を溺愛する。
「なんか信じられないです、常盤くんと付き合うなんて……」
「そ?俺はこうなる気がしてたけど」
「え!?」
驚いて常盤くんの顔を見入ってしまった。
自分の前髪がなくなったから顔がよく見える。
なんて中性的で綺麗な顔なんだろう。
すると次の瞬間、常盤くんの手が私の前髪を触り、そのまま頬にかかってた髪の毛を私の耳にかけてくれた。
まるで時が止まったような感じになり、私は息ができなかった。
「いーんじゃね、髪。もうなんも怖がることなんてねーから。上向いて歩けよ?」
「は、はい……」
「そんで敬語やめろ、タメなんだし」
「つい癖で……やめるように努力しますっ」
「努力じゃなくてやめる、タメのやつらに敬語なんて使うなよ。沙羅はクラスの奴らより格下の人間なんかじゃねーから」
私は昔から自己肯定感が低かった。
だけど常盤くんにそう言われると少し自信がつく。