黒い龍は小さな華を溺愛する。
笑顔がかわいくて、
常盤くんの彼女になれたことに、私自身もすごく驚きで夜はなかなか眠れなかった。
私のことが好きで付き合ったわけじゃない。
それでも、誰かに必要とされることが嬉しかった。
だからか、あんなに登校する足取りが重かった昨日とは打って変わって、今日は気持ちがすっきりしている。
昨日持ち帰って洗った上靴に履き替えていると、後ろから声がした。
「……はよ」
振り返ると、ものすごく眠そうな顔の常盤くんがあくびをしていた。
ぼーっとしているその顔ですらかっこいいというか、可愛いというか。
「おはよー、今日は早いんだね!?」
「……昨日言ったじゃん、沙羅を守るって」
「っっ!」
驚いていると私の顔を覗き見て、
「だって彼氏ですから?」
と笑った。