黒い龍は小さな華を溺愛する。
からかってるんだろうか。
常盤くんってこういうことする人なの!?
私の顔はきっと真っ赤になっていたと思う。
平常心を保つためにこっそり深呼吸をした。
「おい、今言ってた〝彼氏〟ってなんだよ!?」
声のする方を見ると、相羽くんが眉間にしわを寄せて近づいてきた。
いつから近くにいたの!?
その姿を見た途端、私は反射的に常盤くんの後ろに隠れた。
相羽くんは私以外に感情を露わにすることなんてなかったのに、常盤くんにはこの前から威圧的な態度だ。
「朝からうるせー……」と、常盤くんがため息をつく。
「沙羅、答えろよ!」
相羽くんが私の腕を掴もうとした瞬間……
常盤くんが相羽くんの手首を掴んでいた。
相当強い力で掴んでいるのか、相羽くんの顔が痛そうに歪んでいる。
「っく……常盤っ……てめぇ……」
「あのさ、簡単に触れないでくんない?」