黒い龍は小さな華を溺愛する。

常盤くんは舌打ちをしていて、納得いかないようだ。


「やりすぎだよっ……また先生に呼び出されたらっ」


私のせいでまた常盤くんに迷惑かけてしまう。


相羽くんがふっと鼻で笑った。


「やっぱりな……沙羅は俺の味方してくれると思った。常盤、わかっただろ!?沙羅は今も俺のもんなんだよ!」


「なっ!?」


味方したわけじゃない、私は常盤くんのことを思って……!


すると今度は勢いよく相羽くんの胸倉を掴んで自分の方に引き寄せた。


「沙羅は物じゃねえ。選ぶ権利がこいつにもあんだよ」



……常盤くん。

そんなこと言ってくれる人今までいなかった。


私にはそんな権利すらないと思っていたから。


常盤くんが乱暴に手を離すと、相羽くんはばつが悪そうに乱れた首元を直している。


「沙羅……またあとでな」


私の方を見てそう言うと、遠くにいた友達の方へ歩いて行った。

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