黒い龍は小さな華を溺愛する。

その時にはいつもの愛想の良い顔をしていて、相羽くんの演技力に驚く。


私のこと本気じゃなかったって言ってたのに、なんでこんなに執着してくるんだろう……。


常盤くんは「はぁ」とため息をついた後、私の方を呆れ顔で見てきた。


「始末できるチャンスだったのに」


「始末って!?」


「まだあいつのこと好きなの?」


「そんなわけ……」


「さっき庇ってたろ」


「庇ってたわけじゃないよ、人がきたから……」


すると常盤くんが突然屈んで、顔を近づけてきた。

その距離は20cmもないくらいだろうか。

私は驚いて硬直してしまった。

常盤くんの綺麗な顔面が……間近に……!


「ふーん。面白くねーな」


「え!?な、なんで……」


「なんかムカつくわ」


「本当に相羽くんのことはもうなんとも……」


近すぎて顔が見れない……。

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