黒い龍は小さな華を溺愛する。


「目逸らすなよ、こっち見ろ」


「で、でも近すぎっっ」


もともと人と目を合わせるのが苦手なのに、こんなの無理だよ!


目を一瞬たりとも逸らさない常盤くんを尊敬する。


挙動不審になっているとぶっと笑われた。


「からかったの!?」


「からかってねーよ、沙羅の頭ん中全部俺だけにしてやろーと思って」


私はこんなにもうるさいくらい鼓動が高鳴ってるというのに……。


「常盤くんは……余裕そうだね……」


慣れてるのかな。

そうだよね、今まで色んな人と……

想像したらなんか落ち込んでしまって。


「まぁ、慣れてんのかもな。普段ガン飛ばしてっから」


「えっ、そっち!?」


なんか違くない!?

でもちょっとほっとしてしまった。


「あ。帰り、猫んとこ行かね?」


「猫?……ミケのこと?」


「餌持ったきた。行くでしょ?」


「い、行く!」


ってことは……帰りも一緒に?


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