黒い龍は小さな華を溺愛する。


「えっ!?宇崎さんガチで付き合ってんの!?」


吉住くんがそう聞くので頷くと、さらにみんなが驚いた。


恥ずかしいけどいつかバレることだし……。

またみんなに非難されるのかと思いきや、祝福の声が上がった。


「お似合いじゃんー!おめでとう!」

「どっちから告ったの!?」

「沙羅って呼ばれてるの!?てか私も呼んでいい!?」


質問攻めに困っていると


「わりーけど俺ら用事あるから」


と、常盤くんが私の手を引っ張って歩き出した。

その強引さに戸惑うけどドキドキする。

手が温かい……。

私は緊張して手汗かいちゃって恥ずかしい。


教室を出る時、扉付近にいた絵里沙ちゃんと目が合った。

怪訝な様子で私を見ている。

いつも一緒にいる数人の女子もこちらを睨んでいた。


まるで〝絵里沙の方が常盤くんとお似合いだし〟と言わんばかりに。

< 117 / 140 >

この作品をシェア

pagetop