黒い龍は小さな華を溺愛する。
わかってる……。
身の程を知れって感じだよね。
でもこれは本気で付き合ってるわけじゃないから。
いつか常盤くんに本当に好きな人ができたら私なんて用済みだから。
それまでは彼女のフリをさせてほしい。
「今の話本当かよ!?お前らいつの間に!?」
廊下に出ると紫藤くんが口を開けて驚いていた。
「あー、言ってなかったっけ」
「聞いてねーし!あ、わかった!昨日だろ!?俺を先に帰しやがって!」
「まぁ、そうだな」
「〝そうだな〟って!宇崎さん!こいつが彼氏で本当にいいの!?」
私は笑いながら頷くしかない。
「てめぇも勧めてたろ?俺の女になったらいーんじゃねーかって」
「言ったけどよ、夕晴も乗り気じゃねーし、まさかほんとに付き合うとは思わねーじゃん!」
興奮している紫藤くんは声が大きくて、廊下にいた他のクラスの子たちも驚いてこちらを見ている。
なんだかおおごとになってしまった。