黒い龍は小さな華を溺愛する。
叩かれた頬がじんじんする。
もう何を言ったって信じてくれないんだろうな……。
「ねぇ、何してんの!?」
その時、背後から相羽くんの声がしてドキッとした。
その声を聞いただけで、全身鳥肌が立つくらい私の体は怯えていた。
「相羽くん!お、おはよー!」と、
今まで殺気立っていた女子たちの声色が変わる。
ワントーン高くなり、おどおどし始めた。
「沙羅、叩かれたの?」
相羽くんが私の頬に触れる。
そんなこと、前だったら心臓が飛び出るくらいドキドキして嬉しかったはずなのに、恐怖で固まってしまう。
こんなことくらいで怖気ついちゃダメなのに……。
強くなるって……昨日の事をちゃんと聞くって決めたのに!
「何でこんなことしたの?」
相羽くんが女子の方をギロリと睨む。