黒い龍は小さな華を溺愛する。


「もう行くから。じゃな」


「おう!またなぁ!宇崎さんも!」


頭を下げるのが精一杯。


だって常盤くん歩くの早いんだもん!


繋がれた手が少し痛くなってきた。


「と、常盤くん手が……痛い」


私の声にようやく立ち止まり、振り返ってくれた。


「わりぃ……」とため息をついている。


あ、面倒くさいって思われたかな……。


「ほんとうぜーな……」


うざいって私の事!?


ショックを受けてるとそれを察したのか「あんたのことじゃねえよ」と軽く笑われた。


常盤くんにはなんでも御見通しのようだ。


「学校の奴ら。騒ぎすぎなんだよ、くだんねぇ……」


「それは常盤くんがモテるから……」


「俺じゃねーよ、沙羅だろ」


「え?」


「気付いてねーの?自分が自然と前向いてたって」


そういえば……今日は俯くことがほぼなかった……かも。



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