黒い龍は小さな華を溺愛する。

「いろんな人と話すのに精一杯で、気付かなかった……」


「ちゃんと人の顔見て話せたってことは成長したんじゃねーの?」


「常盤くん、ずっと寝てたんじゃ」


「ずっとじゃねーし。なんのために学校来てんだよ」


笑った顔が優しくて大きく心臓が揺れたのを感じた。


なんのためって……、私のため?


なんて都合がいいように考えたらバカかな。


でも私の事見ててくれてたんだ。


心が温かくなって、嬉しくて泣きそうになる。


「ただいろんなのいるから。さっきみたいな隣の奴とかは無視でいいよ」


「無視!?隣の席なのに!?」


「ん。あーいうのはいらねーだろ。LIMEは簡単に教えなくていい」


無視はさすがにできないな……と思ったけど、むやみやたらにLIMEは教えないようにしようと思った。


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