黒い龍は小さな華を溺愛する。
「ほら、練習」
そう言って私の顔の正面にきた常盤くんは私の目をじっと見つめてきた。
朝も思ったけど……いつも距離感バグってない?
私も頑張って逸らさないように見つめたけど、距離が近いし息が詰まりそう。
「だっダメ、無理!」
「まだ5秒くらいなんだけど」
そう言って両手で私の顔を包み込むようにして、上を向かせられる。
「と、きわく……」
「沙羅って……メイクしてねーの?」
「え?うん……」
「マジか、顔面つえーな」
「強い?昨日紫藤くんに色々整えてはもらったけど……」
眉毛とか顔の産毛剃ってもらったりしたけど、常盤くんには絶対してもらいたくないな……。
「にゃぁああ!」
その時ミケが突然常盤くんにかかっていき、その勢いでミケと常盤くんは後ろに倒れた。
「うわっなんだよ!?」
常盤くんに掴まれたミケは大暴れしている。
なんだか怒っているみたい。